ベルリンのITスタートアップで働くジャバ・ザ・ハットリの日記

日本→シンガポール→ベルリンへと流れ着いたソフトウェアエンジニアのブログ

東京都民と千葉県民の違いなんてシンガポールで説明できるはずもない、という話

以前、ウチの娘が同じクラスのドイツ人の男の子とちょっとしたケンカをしたらしく、先生から電話があった。先生からはその経緯やらその後の解決したことまでの報告を受けたので安心はできていた。まだ小学校低学年だし、深刻ないじめでもないし、気にするまでもないというのが私と妻の意見だった。ウチの娘も次の日にはケロっとして気にする様子もなく楽しそうに学校に行っていた。

しばらく経ったある日、そのケンカしたドイツ人の子のお母さんにばったり会った。
お母さんは「ハロー」と笑顔で言った次の瞬間「あっ!この前ウチの子とケンカした娘の親だ!」と気づいた、みたいなリアクションだった。

お互いにいろいろ意見交換をした。
そのお母さんが言ったことで印象的だったのは「ウチの息子もアジアに暮らして日本をバックグラウンドに持つ女の子とでも様々ないさかいがあって、そこから学んで欲しいと思っている」だった。私もこの意見に同意する。

その息子さんはまだシンガポールに来たばっかりで英語がイマイチだった。家ではドイツ語がメインらしく言葉の面で苦労している真っ最中だった。ドイツからはるばるシンガポールまで来て、またそこの小学校のクラスの日本とかいうよく知らない国から来たベラベラよーしゃべる娘がよく分からん英語でまくし立てられてイラついてしまった息子さんの気持ちは私でも理解できる。
そうした異文化がごちゃ混ぜになった中から自分を確立しなければならない、という試練をわずか8歳とかで経験するのは基本的にいいことだと思う。

ちょうどその日の夜、妻の日本の友人とスカイプした。その妻の友人からは相談があって、内容は「夫の姉との仲がとてつもなく悪く、原因は東京都民と千葉県民の考え方の違い」とのことだった。最初は私も「都民と千葉県民の違い」なんてどーでもよかったので聞き流していたが、どうやらその彼女は本気でそう思っているようだった。「あのオネエさんは千葉県民だから***」と何度も繰り返し訴えていた。妻はコミュニケーション能力が高い人なので、共感を示しながら友人の心の悩みをときほぐしてる感じだった。その横で私は何度も繰り返される「都民と千葉県民に違い」理論にほとほと飽きてしまっていた。同じ言語、同じ人種、同じ都市圏でちょっとした県境によって人の考え方まで影響する差異が見て取れる訳がないだろ、と。決して口に出して言わなかったけど。

わずか8歳の子供達がドイツと日本の文化的差異や言葉の違い人種の違いをシンガポールで乗り越えようと努力する様子を目の当たりにしたその後で、30もとっくに過ぎた女が都民と千葉県の違いなんかに固執してキー!となってる様をスカイプのモニターごしに眺めるのはなんともシュールな体験だった。そしてそんな「都民と千葉県民の違い」なんて話はどうやってもウチの娘には説明できないな、と思った次第。

 
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転職候補先で仕事内容や条件は素晴らしいのに「なんだか働きたくないなー」な会社があった

2年ぐらい前、シンガポールで転職活動をしていたときに仕事内容がバッチリで条件もそこそこいい求人が見つかった。さっそく応募書類を送って最初の面談が決まって、面談した。その後に「1次面談ありがとう。次回の2次面談の予定が**でして、来てもらえますかね?」というメールを受けたが、丁重にお断りしたことがある。そこは仕事内容や条件はいいのに「なんか働きたくないなー」と思ってしまった会社だった。

最初の面談の際に訪問したオフィスはいかにもイケてるITスタートアップという感じのオシャレなオフィスだった。私としてはどんなにキレイなオフィスであっても、大企業風のきっちりみんながスーツを来て、学校みたいに並べられたデスクにモクモクと従業員が働いているような職場を好まない。

好みの職場はMacBookがあればどこのデスクでもソファーでも仕事してOk。息抜きのためのゲームや遊びが充実していて、お菓子や飲み物も十分ある、という感じだ。で、そこの会社がそんなオフィスだった。

ただひとつだけ「あれ?」ということあって、それは20人ほどいるオフィスのメンバーが全員インド系の人達だったこと。

決してインド系の人に対して差別意識は持っていない。個人的に親しくしているインド系の友人も多いし、インド系の人材がどれほど優秀かも知っているつもりだ。特にIT業界におけるインド系に対してはむしろ好印象を持っており、ネガティブに思うことは無い。

それでも「なにこれ?」と思ってしまったのはその会社の多様性の無さだ。20人ちかくもメンバーが居るのになぜ揃いも揃って全員がインド系なんですかね?、と。場所がインドならまだ分かるが、そうじゃなくて多国籍多人種国家のシンガポールなのだ。いろんな人が居ることが標準の国で「20人が同じ」はありえない。

私もそこにざっと居た20人のひとりひとりに「どちらのご出身ですか?」と聞いてまわった訳ではない。中にはスリランカとかインド周辺から来ていた人も居たかもしれない。ただ見た目がみなさん褐色の肌でカレーが好きそうなルックスだった。そんな集団の中に日本人の私がひとりで入っていっても、きっと溶け込めなかったように思う。

職場で唯一の日本人というポジションには慣れている。シンガポールに来てから5社ほど渡りあるいてきたが、ほぼ全ての職場で私が唯一の日本人だった。それでも心配無かったのはそれらの職場が全て多様性にあふれていたからだ。

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金髪の奴も居れば、褐色の肌のも居る。キリスト教徒も居ればムスリムも居る。という状況なら、「アタシってマイノリティーでひとりぼっちだわ」などと心配する必要もなく「全員違うから気にするまでもない」となる。

そこで考えたのだが、私も日本で働いていた時、周りの人達は全員が日本人だったし、そこになんの疑問も持たなかった。もし突然に外国人が転職の面談で来て「なんで全員同じ人種なんだ?」とか言い出しても「は?」だっただろう。

きっとそんなもんで前述の全員インド系の会社も私が突然に断った理由を理解していないだろうし、理由を説明したところで「イヤなら来るな」で終わる話だったと思う。
 
 
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「ITスタートアップで**を考えている奴ってバカじゃね?」と一刀両断されたがバカで結構です、と

こちらのスタートアップ界隈でのランチはだいたい周りの会社なんかにいるエンジニア達4,5人と一緒に食べて話をする。話の内容はいろいろだが、最新技術系の話が多い。
「おい、人工知能でその人にあった好みの料理を作る機械知ってるか?」とか「ドローン並べて空中にディスプレイを浮かばせて、そこになんでも表示する技術を知ってるか?」とか。

そういうありえるような、ありえないような話を技術者同士ですることで次の未来を想像するのがやけに楽しかったりする。今日は人工知能の話をしていて「5年後の未来はきっとこうなってる」とかみんなでギャーギャー言っていた。

そこでインド人エンジニアのJが言った一言がこれ。

「でもさ、俺らみたいなITスタートアップに勤めながら5年後の未来なんて話している奴ってバカだよね。変化の激しいIT技術では1年先だって予想不可能だろ。きっとここでみんなが思ってる予想から大きくハズれたところから、技術的なブレークスルーやらサービスが出て来るんだよ。『5年先の予想』なんて意味無いし」

この後、みんなの会話が止まった。場の雰囲気がシュンとしてしまって「じゃあオフィスに戻ってコード書くか。。。」となった。

Jが「え?オレなんか悪いこと言った?なに?どうしたの?」とか言ってたが、特に異論もないのでそんなJを放置してオフィスに戻ることにした。

まーたしかに5年先の未来を語ることなんかよりも、自分のプロジェクトを良くするためにコードを書く方が前進するし、目の前のことに集中するべきだ。

そうは言ってもそういう未来予想の話をしたり、ネットサーフィンして未来技術の記事を読み漁るのは、楽しいし「バカ」と言われてもやめられない。

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