ベルリンのITスタートアップで働くジャバ・ザ・ハットリの日記

日本→シンガポール→ベルリンへと流れ着いたソフトウェアエンジニアのブログ

英語のリスニング強化のためにホントに必要なことを身にしみて体感した話

英語においてリスニングは手強い。文法や語彙は「覚えればいいだけ」という単純な理屈が成立するが、リスニングはそうはいかない。聞いても分からない状態を克服するのはそうカンタンではないのだ。ところがある事でそのリスニング強化にホントに必要なことを体感しましたよ、という話。

シンガポールで暮らしだして、ある程度は英語に慣れてきてもリスニングに関してはなかなか克服できなかった。多国籍国家であることから英語もいろんな訛りでみんなガンガンしゃべってくる。TOEICテストであるような発音でゆっくりしゃべる奴ばっかりじゃない。映画に出ている俳優も発声練習とかやってるからめちゃくちゃ聞き取りやすい。そういうのと実際の生活で話されている生の英語とは別物なのだ。

以前勤めていた会社で電話で処理しなければならない要件が出た。そのタスクを担う人は1ヶ月ぐらいかけて、いろんな会社のIT担当者に電話をしまくることになっていた。電話番号リストには世界中のいろんな会社の電話番号とIT担当者名が載っていた。そこはIT企業らしくメールとかではなく「電話」だった。誰がどう考えてもイヤな仕事だ。で、私が「それやります」と手をあげた。社内にいくらでも英語ネイティブかそれに近い人材がいて、電話だったら彼らがやった方がいいに決まってるのにあえて非ネイティブの私が手をあげた。「英語の電話恐怖症」をここで克服してやろう、という思惑があったからだ。

それで午前中が午後のどちらかを電話の時間と決めて電話しまくって、残りの時間で通常のエンジニアの仕事をする勤務体制にした。ところが始めてみると想像を遥かに超えてこの電話が難しいことが分かってきた。だんだん毎朝出社するのが憂鬱になるレベルだった。原因は強烈な英語の訛りで話の内容が聞き取れないことだった。一応担当者の名前が書いてあるのだが、そのスペルだけからは英語の訛りが予想できない。インドの会社に電話しているのにイギリス訛りの担当者が出てきたり、オーストラリアに電話してんのにアメリカ訛りの英語だったりと、予想外の英語が出てくるのだ。電話だから相手の表情やジェスチャーはまったく分からず、耳から入る音だけが頼りだった。こちらのオフィスにはあまり電話がない環境で、私のデスクにだけ特別電話を設置してもらっていた。その電話で私が「え?ちょとまって今なんて言ったの?え?だからナニ?なんなの?」とかやっている様を周りの同僚みんなが見ているのだ。みんなは面白がっていたようだが、私は必死だった。「これ以上、同僚に私の英語できなさ加減を広めたくない」と考えて焦っていたのだ。

で、やったのは午前中か午後のどちらかだけだった電話時間を1週間ぐらい終日電話時間にした。もうコードを書くエンジニアという職務は一旦忘れて電話マシーンに徹しようと考えた。そして1本1本の電話に最大限の集中力で挑んだ。この仕事はその電話が繋がってIT担当者から内容を聞き出して完了する。できなければ未完了のままだ。「オレにはできないからやっぱ他の人に頼むわ」とだけは言いたくなかった。なんか異様な切迫感の中、朝から晩まで英語で電話しまくった。

するとだんだんコツが掴めてきた。だいたいこっちはずっと同じ内容をしゃべって聞いているのだ。どんな国籍、人種、訛りの英語であってもだいたい返答がパターン化してくる。すると同じ内容の英語であってもインド訛りだったらこう、オーストラリア訛りだったらこう、というそれぞれの言い方と発音の違いが分かってきた。最後の方は周りの同僚達も「お前、なんか最近の電話がやけにスムーズになってきたな」と言い出した。

そんなことでその電話タスクは予定通り完了させて通常のエンジニア業務に戻ることができたのだが、そこにはとても大きな学びがあった。まず各国訛りの英語リスニング力がめちゃくちゃに強化された。それ以降は多少の訛りのキツい人にあっても聞けるようになっていたのだ。短期間でここまで成長できたのは自分でも驚いた。だいたいどんな人でもアノ状況の中で終日英語で電話しまくればリスニングが強化されて当然だ。

そうなのだ。英語リスニング強化において必要なのは「高い集中と緊張感の中で英語を聞くこと」だ。よく英語教材なんかである「テキトーに聞き流してるだけで英語ができるようになる」みたいなのがあるが、それは違う。テキトーに聞き流すんだったら何年もやってる。誰でもアメリカ映画を観て英語を聞いた時間を総合計したらそれなりの時間になるはず。でもそれがリスニング強化になることはほぼない。「高い集中と緊張感の中で」というのがポイントなのだ。意識していないと通勤途中にヘッドホンで英語教材を聞いていても、そこまでの緊張感は持てない。

「アタシの電話の英語を周りのネイティブの同僚みんなが聞き耳を立てて聞いてるー!」「『え?なに?なんて?』とか聞き返してたらダメ野郎って思われるー!」「変な英語でのごまかしは恥ー!」というようなヒリヒリした状況での英語のリスニングが本当に強化されるのだ。

私はいまだにあの時ほどの緊張感の中で長期間にわたって英語を聞きまくったことは無いし、あの時ほど英語のリスニング力が強化されたことも無い。

それだけ「高い緊張感の中で聴くこと」と「リスニング強化」には相関があるということだ。

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