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ジャバ・ザ・ハットリの日記

日本→シンガポール→ベルリンへと家族と共に流れ着き、ベルリンのスタートアップで働くソフトウェアエンジニアの日記

人種差別も宗教問題も独特のユーモアと鋭い視点で表現したエッセイ「No Land's Man」

実際の英会話において実用的に「使える本」に出会った。アメリカのテレビで活躍するコメディアンAasif Mandvi 氏のNo Land's Man。

No Land's Man

No Land's Man

著者のアシブ氏はインドのムンバイにムスリムの家庭で産まれ、少年期にイギリスへ移住し、十代にはアメリカのフロリダへ移住。またその後はニューヨークへ移り舞台俳優からキャリアをスタートさせて、テレビでも活躍するにいたった人物。
その生い立ちから多様なバックグラウンドを持ったこの人の独特のユーモアが軽快でとても面白いエッセイ集に仕上がっている。

人種差別や宗教の話題は重たいが、だからといって誰も口を塞いでまったく話題にも出さない訳ではない。特にシンガポールのような多国籍国家においては日常にありえる出来事なので、よく話題にもなる。
基本的に強烈な人種差別主義者になんて出会うことは無いし、あからさまに差別的な発言をする奴も居ない。ほとんどの人は「人種差別はあってはならない」と考える常識人ばかりだ。ところがだ。そんな常識人の心の中にもどこかで宗教や人種に対して気づかないうちに偏見の種を持っていたりする。
そんな微妙な心の持ちようを英語で表現する手段は私には無かった。しかしこの「No Land's Man」でアシブ氏が面白く語ることで「こういう風に表現すればいいのか」と感じた。それはプロのコメディアンでありかつアシブ氏にしかできない語り方だが「人種差別の話題なんてどう英語で言えばいいんだ?」となっている私からすればとても参考になった。
なによりそんな勉強モードで構えなくても、普通に読んでいても「プッ!」と笑ってしまうぐらいに面白い。

この本のプロモーションビデオがあるので、それを観れば本の雰囲気がつかめる。

www.youtube.com

ビデオの日本語訳(意訳)

f:id:tango_ruby:20160824003926p:plain:W400

アシブ(左)がドアをノックするとジャック(右)が出てくる。
アシブ「入っていい?」
ジャック「ああ、入れよ。ラップサンドあるよ。食う?」
アシブ「ありがと。でも今はいいよ。」
f:id:tango_ruby:20160824005121p:plain:W400
アシブ「本を書いたんだよ。この本の宣伝に協力してくれるか?」
ジャック「なに書いた?」
アシブ「自伝的なもんだな。知ってるとおり、オレはインドに生まれて、イギリスで育って、またアメリカにわたって。今こうしてるけど、ルーツはインド人でムスリムで。」
ジャック「え?え?今なんて言った?」
アシブ「オレはムスリムの家庭で、、、」
ジャック「ムスリム!イスラム教か!」
アシブ「ああ(引きぎみ)」
ジャック「じゃあ断食中か?!!」
アシブ「いや断食はしないよ」
ジャック「あー!!断食中のイスラム教徒にラップサンドなんか勧めちまったよオレ!」
アシブ「いやいいよ。そういうんじゃないし」
ジャック「なんてバカなんだオレ!!」
f:id:tango_ruby:20160824005422p:plain:W400
ジャック「お祈りするか?!」
アシブ「お祈り?」
ジャック「分かってる。俺たちは全ての宗教を尊重するし、偏見なんて持ってないからな!お祈りだな!」
アシブ「いや、お祈りしないよ」
ジャック「イスラム教だっらお祈りが重要だろ!お祈りするよな!!」
いきなり立って、入り口のドアへ行く
アシブ「おい、なにすんだよ?」
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ジャック「みんな!アシブはイスラム教徒で今からお祈りが必要なんだ!!騒ぐんじゃねーぞ!!」
アシブ「やめてくれよ!」
 
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ワト(右)「この本に『昔マイケル・ジャクソンのものまねしてた』って書いてあったな」
アシブ(左)「ああ、そう。高校時代にな」
ワト「人種差別だろ」
アシブ「え?」
ワト「それ人種差別だ。なんでアフリカ系アメリカ人でもないお前がマイケル・ジャクソンのものまねなんてやってんだよ。バカにしてんのか」
アシブ「いやいや、あのマイケル・ジャクソンだぜ。ただのものまねだろ」
ワト「例えばオレがインド人のものまねをしてだな」
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どこからかターバンを出して、変なインド訛りでインド人のものまねをはじめる。

ワト「どうだった、これ?」
アシブ「差別的だな」
ワト「だろ」
アシブ「この本の宣伝は、、、」
ワト「しねーよ」
 
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変なイギリス人(左)「Englishってのはオレだろ。あなたじゃないわ。この本はイングリッシュじゃないわ」
アシブ「オレはイギリスで育ってな、、」
変なイギリス人「ホントか。イギリスのどこ?」
アシブ「ブラッドフォード」
変なイギリス人「ブラぁーードフぉーード?そんな場所ないわ」
アシブ「イギリスにある市の名前だ」
変なイギリス人「イギリスのパスポート持ってんのか?」
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アシブ「あー持ってるよ、ほら!」
変なイギリス人「フットボールは?」
アシブ「そんなもん今、持ってきてるわけねーだろ」
変なイギリス人「オレは持ってるぞ、ほら」
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変なイギリス人「イギリス人なら持ってるはずだ」
アシブ「そんなわけないだろ」
変なイギリス人「イギリスのパイは?」
アシブ「はぁ?」
変なイギリス人「パイだよ。オレは持ってるぞ、ほら」
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変なイギリス人「イギリス人ならいつも机の引き出しに入れてるはずだ」
アシブ「もういい!お前、狂ってるわ!!」
 
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本の「非」協賛者
 
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という感じで、ビデオでもなんとなくこの本のノリが伝わる。

アシブ氏の書く文章のユーモアのセンスはイギリス的でもアメリカ的でもインドでもないような感じでとっても気に入ってしまった。英語もカンタンで読みやすいのでオススメです。

No Land's Man

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