ベルリンのITスタートアップで働くジャバ・ザ・ハットリの日記

日本→シンガポール→ベルリンへと流れ着いたソフトウェアエンジニアのブログ

公開して3週間で収益10万円を得た個人開発サイトについての考察

公開してまだ3週間ほどだし、収益としても10万円でしかないし、大きな事は言えないがここで個人開発サイトとその収益性について考えたことを記しておく。

世の中には**億ドルのバリエーションを獲得したスゲー起業家の話か、個人開発サイトを立ち上げたものの収益なんてゼロに近くサーバー代とトントンの話かの両極端しか無いように感じる。
パッと立ち上げてだいたい1ヶ月でiPhoneXが買えるぐらいのサイト規模というのは、どんなレベルのエンジニアでも手が届く範囲内にあるのが実感だ。「人生賭けて起業!」とかそんな熱い話ではない。普段の仕事が終わったら、ちょこちょこコードかいて個人的にアプリを公開して収益を得る、ぐらいの話でしかない。「1億総クリエイター時代」なんて言われる昨今では、どんなエンジニアもこんな感じのやり方が世の流れに合っている気がする。

サイト内容

今回、開設したのはざっくり言うとこんなサイトだった。
Qiitaという技術ブログのAPIから技術書に関して言及されている記事を抜き出し、それに応じて技術本のランキングサイトを作成した。たくさんの技術ブログ記事で紹介されている本ほどいい本、という発想のランキング。詳しい内容とコンセプトはこちらの記事に書いた。

QiitaのAPIを利用していることからQiitaに書いた記事にそれなりに反響があって、そこからサイトにアクセスが流れてまーまー皆さんに気に入っていただいて、立ち上げ3週間で10万円の収益が発生した。今後もサイトを改善し続けて、ずっとコンテンツが自動更新されて、人の役に立つ技術書ランキングサイトであり続けたいと考えているところ。

ここからこのサイトを通じて得た考察について書く。

www.techbookrank.com

「自分の欲しいモノを作ればOk」という考え方の甘さ

よく個人開発の企画を立てる際に「まずは自分が欲しいモノをそのまま作ってみましょう」というのがある。これには異を唱えたい。少なくとも私には合わない。人は誰でも個性や考え方の差異があって必ずしも「自分が欲しいモノ」=「世の人々が欲しいモノ」ではない。
素晴らしいサイトというのはその対象ユーザー層にとっての「欲しいモノ」が実装されているサイトになる。作った人が欲しいモノ、なんかじゃない。

世の中全ての人を対象する必要はなく、対象ユーザーは絞れば絞るほどサイトは作りやすい。マーケットは小さくなってもターゲットは絞るべき。「理系の人向け」よりも「ITエンジニア向け」の方がいいし、「ITエンジニアでかつ技術書が好きな人向け」ならもっといい。
注意しなければならないのは「自分が欲しいモノ」にフォーカスするあまり、対象ユーザーが極端に絞り込まれて結局そのプロダクトが欲しい人は全世界であなたひとりだけ、という笑えないオチになってしまいがちなこと。
スティーブ・ジョブズのような天才的な勘の持ち主でも無い限り、自分の思いだけで突き進んでも「世の人々が欲しいモノ」に到達することは無い、というのが私の意見。

なので現時点の私が考えた企画立案の王道はこれ。

  1. 対象ユーザーを特定する
  2. そのユーザーが欲しいモノ、気に入っている他製品をとことん調査してコピーする
  3. 最後の最後に少しだけ自分の味付けを加える

トレンドを捉えるアンテナ感度がめちゃくちゃに鋭い人でもなければ「自分の感覚」なんてモノは参考程度にとどめておくべし。自分の個性やオリジナリティなんてものは最後の最後にほんの少し加える程度で十分。「ほんの少しだけ」という意識でやっても個人サイトはウザいぐらいに作り手の個性が入りこんでしまう。

自分でコード書いて立ち上げるサイトの場合、小さなボタンの配置から1行のキャッチコピーまで自分の脳から出てくる。すると気付いてなくても個性が勝手に入り込んでしまう。そうなると「自分の思い」なんてアクの強いモノを入れる必要はもはや無い。考えるべきなのはユーザーのニーズ、ただそれだけでいい。

前述のテックブックランクには先行している成功事例をとことんまで研究してコピーした。コピーすれば見えてくるものがたくさんある。普段はユーザーとして使っていただけのサイトも、その実装をコピーすることで「あーアレはこういう意図でそうしていたのか!」と気付く点が多々あるのだ。

コピーを後ろめたく思う必要は無い。法に触れるようなパクリや著作権侵害は論外だが、成功事例のコピーはどんどんやるべき。フェイスブックは世界初のSNSなんかじゃないし、YouTubeもビデオシェアリングサイトとしてはかなり後発。Googleも世界初の検索エンジンじゃないのは誰もが知っている。
俺様のセンスにまかせていいのはスティーブ・ジョブズだけ。それ以外の人々はとにかく成功事例を研究しまくって模倣すべし。

マネタイズについて

ここは人それぞれの考え方によるだろうが、私自身は個人開発においてそのマネタイズにはめちゃくちゃにこだわっている。なぜならお金の指標がもっとも厳しくそのサイトの良し悪しを測るバロメーターになるからだ。
別に明日に食う物に困っている訳ではないし、喉から手が出るほどカネが欲しいとは思っていない。「カネ、カネ」言ったところで欲しいモノはほどんど無い。ずっと同じ服しか着ないし、高級車にも家にもなんの興味もない。MacBookがあってコードが書ければそれだけで満足なネクラオタクなのは自分でも分かっている。

それでも個人開発においては頑なにその収益性にこだわっているのは、お金という指標を使ってよりよいアプリを作るため。私の考えでは月に10万円の収益をもたらすアプリよりも、月に100万円の収益のアプリの方が10倍いい。1億ならもっといい、となる。

そこに「個人が好きに運営しているから収益性は考えてません」という態度をとってしまうと、そこからの発展性を望めなくなる。誰かの作ったモノを見て「おーいいモノ作ったねー。イケてるねー」とお世辞を言うのはタダだしなんとでも言える。そこに「*円を払ってでも欲しいか」とお金の指標をもってその人に突きつければ「いいとは思うけどカネ払ってまでは要らんな」とかにもなる。お金はその評価基準をぐっと高めて厳しくしてくれるのだ。自分の作ったモノに対してはそういうテンションで評価して欲しいし、そうでなければサイトがより良くならないと思っている。(ここで言ってるのはあくまで評価基準であって、ウェブサイトの収益モデルが有料課金か無料の広告収益モデルか、とかではない)

「世の中は評価経済社会に移行していてマネーの価値は減り続けている。プロダクトの価値は別の評価基準で測る時代になりつつあってですねー」って?そういうカッコいい話は別の所でやってくれ。少なくとも2018年時点の私にとってアプリの評価基準はあくまで「Show me the MONEY!!!」であって、それ以外の指標に魂が震えることは無い。

こう書くと「ショぼっ」と思われるだろうが、たったの10万円ではあるが2週間で収益のチャートがグングン上がっていくのを見て興奮したし、今ではこの10万円をいかに100万円、1000万円にするかを考えてワクワクしている。いいね数とかではここまで興奮しなかっただろうし、真剣により向上される方法を考えることもなかっただろう。

技術力と企画力の相関

結論から言う。技術力と企画力にはまったく相関がない。
技術力の定義を「頭で考えた企画をどのぐらいの割合でコード書いて実装できるか?」とすれば私の技術力はきっと90%を超えている。つまりは自分で考えたことぐらいならばアプリに落とし込める。まーそもそも考える企画自体が「自分でもできそうなこと」と制限しているからかもしれないが、ここで言いたいのはそんなことではない。

それなりに技術力があったとしても即それが「いい企画を生み出せること」にはならない。当たり前だけど技術力と企画力はまったくの別モノだ。

高い技術力があって、地位のあるエンジニアほど「俺様の企画力はまーまーイケてる」と思いがち。みなさんも技術力のあるエンジニアが「フェイスブックがなぜ人にウケるのかって、それはだねー」と講釈をたれているのを見たことがあるだろう。そこは「おめーは技術力あるかもしれんが、それと企画力は違うんだぜ」と心の中で考えておかなくてはいけない。

他人のことはどーでもいい。気にするべきことは自分のこと。とにかく自分の技術力が上がるほど企画力も上がる、なんてことは一切無い。企画力は訓練して向上させるべき項目のひとつ。なにもトレーニングをしていないのに、自動的に上がる訳が無い。ということで私はこれからも企画力を上げるトレーニングをガンガンやらなければならない、と考えている。

前の項目にあった「自分の欲しいモノを作ればOk」という発想が広く受け入れられる理由もなんとなく分かる。「自分の欲しいモノ」ってしてしまえば楽なのだ。オレはこれが欲しいから、ってやるとその後はそれ以上に考えなくて済む。そんな楽な方法でOkならみんなそうするわ。
マネタイズを狙ったド真剣な企画はそんなんで出てくる訳がない。企画はそんなフワっとした思いつきじゃないし、かなり考えて調べてしないと到達しない科学的な結果だ。とにかくここは訓練が必要なのに軽んじられているのが、アプリが停滞する原因だと思う。

システムとコンテンツ

エンジニアであるがゆえにシステム構築にばかり気が行ってしまう気持ちは分かる。だが、いいウェブサイトにおいてはシステム構築と同じかむしろそれ以上にコンテンツに気を配らなければならない。

よくあるのがユーザー投稿型のウェブアプリを立ち上げた場合。ツイッターとかインスタグラムとか各ユーザーからの投稿で成り立つあの系統のSNS企画だ。
スゲー企画を思いついたスゲーエンジニアが自身の渾身の企画を実装して、フェイスブックを超えるような素晴らしいSNSを作りました、と。ユーザーさんがその素晴らしいSNSにいろんな内容を投稿するのを待っていたのですが、待てど暮らせど投稿数が伸びない。投稿にあるのはサクラ的に自分や身近な友達が入れたのだけでさっぱり盛り上がらずに終了、という例。

ユーザー様はシステムになんか興味はない。どんなデータベースか、どんなフレームワークか、なんて知る訳が無い。サイトにアクセスした際に目の前にあるのはコンテンツだけ。だからコンテンツこそが重要。
投稿型サイトであっても、サイト開設初日からバリバリに盛り上がっていて、一番最初のユーザーであっても、その大盛り上がりなSNSパーティーへの参加者になってもらう必要がある。

なので前述のテックブックランクではQiita上にある30万件の記事をAPIから抜き出し、サイト開設初日からたくさんの投稿数と書籍数、ユーザー数が、実際には無くても、既にそこにあるかのように設計した。

これはほんの1例だが、私も含めてエンジニアが立てる企画のほどんどはシステム設計指向でコンテンツに対する考えがスカスカのが多い。コンテンツはシステム設計よりも優先して考えるべきことなのだ。

アウトプット至上主義で数撃ちゃ当たる戦略

私の個人開発の成績としてはまだまだ発展途上だし、いいノウハウがあるならこっちが知りたいぐらいだ。それでも現時点でこれだけは断言できる。

個人開発なんてものはアウトプット至上主義で数撃ちゃ当たる戦略に沿っていくべし、と。

人様に「俺さー、すげー企画を思いついたんだよねー」なんて言ってる暇があるなら、コード書いてサーバーに入れて公開すべし。ブログに「個人開発の心得」なんて書くヒマがあるなら、コード書いてサーバーに入れて公開すべし。とにかく数を打て、と。

今まで様々なウェブサイトを立ち上げてきたが、その多くは失敗だった。世の中には出す企画がほぼ全て当たっている天才的な人も居るが、残念ながら私にはそんな才能は無いようだ。しかし私の脳にも「学ぶ」という機能はそれなりに備わっている。サイトを立ち上げた数だけ経験値が積まれて、少しづつではあるが精度が高まってきているのは感じている。数をたくさん打つこと以外にいいアプリを作る方法は無いな、というのが結論だ。

私が個人開発のウェブサイトを企画する際に参考にするのはすごい実績で開発している人の英語ブログになる。すると「あーこの人って確実に天才肌だな」って人が結構居る。そうした人達の共通項として「すごい数の企画を立ち上げていること」。たくさんの企画を立ち上げて潰してを繰り返す中で得た知見がブログ記事の一端にも現れていて、それらが本当に素晴らしい。で、振り返って自分自身を考えてみれば彼らほどの経験値が圧倒的に足りていない。

能力はともかくとして、ここはとにかく数を打って経験値だけでも稼がないと彼らに追いつく方法は無い。
なんでも全部やる個人開発はひとつの企画がポシャったとしても、すごい量の学びがある。それらの学びをいかに成功へと繋げるかは個人の能力とセンスに関わってくるが、誰にでもできる単純なことは数を打つこと。数も打たないのにゴチャゴチャ理屈だけ並べてる奴に出る幕は無い。これだけは断言できる。

なのでこんなブログ書くのもそこそこにして、コード書くことにする。

 
実はもっといろいろノウハウ的には得た知見があるのだが、書いていないことが山ほどある。アウトプットこそが大事で得たノウハウなんてどんどん出すべき、というのも理解している。でも書いていないのはまだまだ確証が持てないからだ。「きっとウケるウェブサイトの作り方はこの方向だと思う」ぐらいの感じでしかない。そのノウハウに確証が持てるまでは実装あるのみ。

次は立て続けに3つぐらいのサイトを公開する予定。まーまー楽しい。

いつの日かもっとすごいサイトを運営できるようになって、この記事を読み返して「あーこの時はこんなレベルだったのか。まだまだだなー」と思えることを願っている。
しょうもないサイト立ち上げてポシャってもちょっと恥かくだけで、どーってことはない。思い思いのサイト作って公開してみましょう。Happy Coding.


Qiitaに書いた記事
こっちはサーバー関連とかちょっと技術よりのことを書き足した。
開設後3週間で収益10万円を得た個人開発サイトでやったことの全部を公開する



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