ベルリンのITスタートアップで働くジャバ・ザ・ハットリの日記

日本→シンガポール→ベルリンへと流れ着いたソフトウェアエンジニアのブログ

【読者質問 03】シンガポールからベルリンに移った理由

移転しました。

ご質問ありがとうございます。ではさっそく質問から

シンガポールからベルリンに移られた理由がいまいちよくわかってないので教えてください。

ご質問者さんはコメントに「シンガポール転職を考え中」とあったので質問を「シンガポールで嫌なことがあってベルリンに移住したのか?シンガポールは住むのにおすすめできない国なのか?」と言いたかったのかも、と深読みした上で回答する。
シンガポールにはまったくイヤなことは無かった。シンガポールは私にとって今でも世界で最も住むにはいい都市のひとつ。清潔で治安も最高に良く、医療、教育、どこをとっても最高レベルに充実している。ただ「他にもいい都市があるんじゃね?」と考えて移住したのがベルリンになる。

私の経歴をひとことで言うと、日本で社畜エンジニア→シンガポールのITスタートアップを数社渡り歩く→ベルリンのITスタートアップ、となる。

まず日本から家族と共に住まいをシンガポールに移した時の感想はとにかく目に入るもの、出会う人達、その人種、考え方、話す内容、食事、職場環境、全てが異なり新鮮で楽しかった。物事の考え方が急拡大していくのが自分でも分かった。自分とまったくバックグラウンドの異なる人達と言葉を交わした際のメリットは計り知れない。外国の人達と積極的に話しもしないで「アメリカ人は**」「中国人は**」なんてイメージだけで言ってる人はちょっと人生を損していると思う。この辺りのことはこちらの記事にも書いた。
シンガポールに暮らして、シンガポールを拠点に周りの東南アジアの国々をヒマさえあれば旅行しまくった。そうして色んなことを経験するにしたがって、シンガポールを拠点とした生活に心の底から満足していた。

それと同時に同僚のITエンジニア達の国を転々と移動する生活スタイルを見ていて「現代のITエンジニアというのはどこでも住む国を選べるのだな」ということが分かってきた。そうなると「シンガポールに満足しているが、私と家族にとってシンガポールが地球上でもっともいい国だ、なんて言えるのか?」と疑問に思うようになった。旅行ではなく、じっくり住まいを置いて住んだ国が日本とシンガポールのたった2カ国だけで、一体なにが分かるのか、と。

元々がケチな根性も手伝って英語ができるITエンジニアなのに2カ国での居住経験しかないのはもったいない、と思うようになった。
以前ロンドンのホテルにチェックインする際に別の老夫婦もチェックインするところだった。ホテルの人が「これ朝食券です」って券をその老夫婦に渡そうとしたら「いや、私らはいつも朝食は食べないの、結構ですのよ」とか言ってるとこを目撃した。もうタダならなんでももらう私にとっては一生ありえないセリフだった。
まーとにかくケチな性格もあって、いろいろ移住しないと損と思うようになり、次の行き先を家族と共に探しだした。

大きく考えて今後の経済圏はだいたい3つに分かれる。北米、EU、中国の3つ。中国をはじめとするアジア圏はシンガポールで十分堪能したので、次は異なる経済圏を考えた。アメリカは個人的にニューヨークに憧れがあった。これは単なる憧れ。しかしどこまで調べてもアメリカの医療制度と教育制度(大学に入る前)が壊滅的にしか思えないので辞めた。
で、残るはEUとなった。私の予想では今後30年ぐらいでEUはひとつになると考えていた。EUという単位で見るとかなり巨大な経済圏になる。混乱がありながらもひとつになりつつあるEUを最も体験できるのはドイツのベルリンかな、ということでベルリンを候補にした。よくよく調べてみると医療制度や教育制度もそれなりで、家族からも「じゃあとりあえず行ってみるか」となり、職を探して応募してオファーもらって移住した、となる。

ベルリンに来てみて感じたのは来る前に予想していた「今後30年ぐらいでEUはひとつに」というのは半分ぐらいは間違っていたな、ということ。ある階層の人達にとってもうEUは本当の意味でひとつになっていた。国際都市ベルリンに暮らす多国籍な同僚エンジニア達の意識に関することなので、文章にするのが難しいが結論だけいうと「彼らにとっては国境がほとんど意味無さそうに見えてしょうがない」ということだ。

いろいろと移住の理由と並べたが、実際のところは行ってみないと分からない。分からないから面白そうだし来てみた、というのが本当のところ。そういう予想もしてなかった出来事との出会いが海外移住の楽しさなので、今後もいろいろ移住してみたいと思っている。これが私のベルリンに移った理由でした。

ご質問あればぜひこちらから! しばらく質問箱は閉じることにしました。


ひとつのところに落ち着かずいろいろ動き周る人の代表と言えば高城剛。多動日記を読むと「この人はなんでこんなに移動してんだよ」の素朴な疑問に少しは答えてくれている。もう目次を見ただけで楽しい気分にさせてくれる。私の中では高城氏の書籍の中でこれがベスト。またいつか書評書こ。
目次がこれ。これだけあっちこっち行って元気なオッサンだなー、とただ感心する。
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本書より

「なんでそんなに旅行に行くのか?」と聞かれることもあるが、逆に聞きたい。「いったい、なぜ、同じ場所にいるのか?」と

高城剛

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