ベルリンのITスタートアップで働くジャバ・ザ・ハットリの日記

日本→シンガポール→ベルリンへと流れ着いたソフトウェアエンジニアのブログ

40代の社畜が海外から2〜3倍の年収オファーというコメントをいただいて、ブログ続けてよかったのかもと思えた

読者さんからコメントいただいて、何度も「やめたろか」と思ったブログを一応は続けておいて良かったなーと思えた。

ブログやってて嬉しいことなんてほぼ無い。ほとんどは時間の無駄でちっとも儲からんことばっかりだ。しかしごくまれに「やっててよかったかな」と思える瞬間が訪れる。先日いただいたコメントがあまりに嬉しく、かつこんな機会はめったに無いのでそのまま転載して残すことにした。

何時も楽しく拝読しております。
私も40代の社畜のドメドメ証券のPBで働いているものです。
2年前から洗脳から離れ強烈に英語の勉強を始めました。その時にこのブログに出会いました。英語学習海外転職の参考にすごくなりました。それなりに英語がなったので海外PBにエントリーして面接もしました。国内ではそろそろ役職定年な年代でも、25年間の実践経験値を海外の業者は高く買ってくれ2〜3倍の年収のオファーを出してきます。このブログが私の気持ちのケツを叩いてくれました。感謝してます。今後も楽しみにしています。今度は香港での面接ありますががんばります。

なにが嬉しいって40代で日本ではそろそろ役職定年な年代でも2〜3倍の年収のオファーを出して、というところ。素晴らしい!コメント主さんのご経験とスキルがあって実現できたことであるのは言うまでもない。ぜひ香港の面接も成功させてください。

この方の様に活躍する人がもっともっと増えて欲しい。なぜならそんな人達の存在が世界をよりフラットに平和にしていくからだ。

日本からだからまだ2〜3倍の年収で済んでいるが、もしこれがロシアや東ヨーロッパの片田舎のITエンジニアがヨーロッパの大都市圏に移るとなったら、10倍の年収とかもざらにある。グローバル化がどんどん進んでいく今の世界では人も仕事も情報、カネ、全てが国境をいともカンタンに超えていく。人類が歴史上経験したことの無いスピードで国際間の格差が縮小されているのだ。
今までだったらアメリカ生まれのアメリカ人は経済的に有利だったし、ベトナムの片田舎で生まれた人は経済的に不利だった。だがそんな時代も終わりつつある。どこで生まれようとデキる人には国境を超えてチャンスが存在するようになった。実際、今の職場であるベルリンのITスタートアップにおいて「優秀な人」というのに国籍が一切関係無いことを日々実感している。

同僚のロシア人エンジニアKに「ロシアで仕事を探している人が10人いたとして、ロシア国外で探す人はそのうち何人だと思う?」と聞いたことがある。その答えは「は?そんなの10人全員がロシア国外を目指すに決まってるだろ」と言った。Kはその後「だいたいお前な、その質問ってロシアがどんな国なのか本当に分かってて聞いてんのか?ジャパーンとは違うんだよ」と言うと共に今のロシア情勢をトウトウと語りだした。Kのロシア話はこの記事の主題とはズレるので割愛するが、とにかくそういう国では仕事の場を国際的に考えるのがデフォルトになっているらしい。

日本も例外ではないはずなのに、なぜか発想は内向きでしかない。日本の一人あたりGDPが下がり続けて、労働環境も決していいとは言えない。雇用における年齢差別は公然と行われ、正社員と非正規、年功序列といった国際基準とかけ離れた雇用環境が今も続いている。それにも関わらず経済産業省の統計では「海外で働きたいと考える人」の率は年を重ねるごとに下がっている。つまり日本ではほとんどの人が海外を選択肢のひとつとしては考えず、またその状況に拍車がかかってどんどん内向きになっているのだ。

そんな状況の中で突然に「国境を自由に飛び超えて移住を繰り返し、面白そうなプロジェクトを渡り歩く生活スタイルをやってみましょう」なんて言っても「はい。じゃあ、そうします」となる訳がない。人間は周りの人の考え方や行動に影響されるからだ。

私も日本に居る時に周りに海外を目指す人なんて居なかった。「国境を超えて好きに移住するスタイル」なんて特別な才能を持った一部の人ができることであって、普通のエンジニアである自分に置き換えることなんてまったくできなかった。
しかし海外で働くようになり、また多国籍なエンジニアチームのメンバーと仕事をする中でだんだんとその実態が分かってきた。その時に感じた感想を端的に言えば「誰もが普通の事のように移住して、人生なんて国境無しに考えた方が合理的なのになぜ今までそう考えなかったんだろ」と。これらは「マニュアルを読んで理解する」といった次元ではない。頭の理解とはちょっと異なり、むしろ「考え方や生き方を体感する」と言った方が近い。

このブログの意義もそうした「国境を超えて好きに移住するスタイル」を海外転職に興味をお持ちの方へ提案できればと考えて書いていた。ただ日本では「海外を目指す人」の絶対数が少ない上に減少傾向で、しかもここで提案しようとしていることもちょっと書いたぐらいではなかなか伝わらないことばかり。ブログの効果なんてほとんどあって無いようなもんだし、その反応が読み取れることなんて皆無だった。

だからこそ、いただいたコメントがとても嬉しかったのだ。

コメント主さんの「年齢?40代?国籍?そんなもんカンケーねーよ。ガッツリ稼がせてもらうぞ」とも言わんばかりの突き抜けた行動が痛快で気持ちいい。無条件に応援したくなる。
私は今後、人がどこかで働こうとする時に年齢、性別、国籍、肌の色、宗教で差別されることが一切無くなって欲しい。そういう差別を本当の意味で無くすために最も効果的なのはコメント主さんのような方がどんどん増えることだ。
私はなにも「差別はダメでーす」みたいなポリティカル・コレクトネスなんかが好きで言ってる訳ではない。ただ単にその方が公平かつ経済合理的でみんながハッピーになれるから言っているだけだ。そして「差別ダメです」みたいな政治家の人気取りの演説では世の中は変わらない。社会を構成するひとりひとりが理不尽な差別を突き抜けた活躍をすることで社会は変わる。

コメント主さんへ
本当にコメント嬉しかったです。ありがとうございます。そのご活躍は私だけでなく周りの多くの人達をとてもポジティブな気持ちにさせたと思います。これからもぜひご活躍ください。

誰かが誰かを幸福にすることなどできない。他人にしてやれることなど何もない。他人を支配するのも無理だし、支配されることもできない。もし何か他人に対してできることがあるとすれば、キラキラしている自分を見せてやることだけだ。 - 村上龍

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【読者質問 10】ソフトウェアエンジニアとして職を得るためのレベルと注意すべきこと

ご質問ありがとうございます。

いつもブログを楽しく拝見しています。ソフトウェアエンジニアとして職を得るために、どれくらいのレベルかを教えてもらえるでしょうか?例えば、このレベルのコードはプログラミングできるなどあれば、教えて欲しいです。

ほとんど同じようなご質問を以前にいただいて回答しましたのでこちらも参考にしていただければ、と。
【読者質問 04】「まともなコードが書けるエンジニア」はどんなレベル? - ベルリンのITスタートアップで働くジャバ・ザ・ハットリの日記

ご質問に「ソフトウェアエンジニアとして職を得るために」とあるが、これは様々なレベルと会社があって、初級レベルの技術にはそれ用の職が、上級エンジニアにはそれ用の職がある。初級レベルのエンジニアなら職名はインターンやジュニア・デベロッパーとなり、上級レベルになるとCTOとかリードエンジニアになっていく。なので「職を得るために」という答えは「箸にも棒にもかからないレベルでなければOkです」となってしまう。

「例えば、このレベルのコードはプログラミングできるなど」って???んんんー。それは「coding interview <自分のプログラミング言語>」とかでググって調べてください。たくさん出てくるから。

しかしそのおっしゃっている「職」が海外の職の場合、注意が必要になる。

すごくよくデキる人はあまり気にしなくても、その持ち前の技術を面接なんかで披露してお好きな会社に行けばいい。本当の意味で注意が必要なのは初級レベルのエンジニアになる。

日本でも海外でもスタートアップといえども本当にクソなスタートアップがある。そういうのに捕まるとロクなことが無い。そんなクソに引っかからないようにするためにはできるだけ技術力を付けて、またそれを正当に評価してもらうことになる。

転職の技術面談なんかで次から次に難しい問題を出してきて、しかも長期間に渡って5次面談、7次面談とかやられるとさすがに疲弊してくる。「もうええかげん面談ばっかりしてねーでオファー出せよ」という気持ちになってくる。ただそこはいい事として受け取った方がいい。その後オファーが出たら「あそこまで技術的にチェックしまくって採用しているのなら、他の同僚達も同じ選考を経てきていることになる。会社としても技術に対する理解があって、エンジニア待遇は間違いなくいい」と考えられるからだ。

「自分にはあまり技術力が無いので面談で技術チェックはしないで欲しい。なるべく聞かないでくれー」と思ってたら本当にあまり技術チェックをせずにオファーが出た、となったら危険信号だと思うべし。そういう会社は技術の理解が無いし、技術を評価できてないし、あなたという人材を安く買い叩いてくる可能性が高いからだ。

仮にあなたの技術力が100点満点中50点であったとしたら、何度も何度もちゃんと技術面談をしてその50点をそのまま評価できる会社の方が実は良かったりするのだ。

これまで何度も英語圏での転職を繰り返してきたが、これでもかというぐらいにガンガン技術面談をしてくる会社はひとつの例外もなく全て「いい会社」だった。いい会社の定義は様々ではあるが、ここで言っているのは「エンジニアにとってのいい会社」だ。

海外で就労すると外国人であることからその国に暮らすためのビザが必要だし、立場の弱い外国人を守ってくれるのは自分の技術力でしかない。技術力があれば、雑に扱われることは無いし、もしその会社が気に入らなくてもカンタンに職を変えることだってできる。

海外に住んでいたものの日本への帰国を余儀なくされた方も多く居る。状況によってはクビも強制帰国もあるのが海外での就労だし、脳天気になんでも「海外に行けばー」とおすすめする訳にもいかない。ブログで海外転職をおすすめしながらも「たまたま私は海外に出て、いまだに生き残っているから文章に生存者バイアスがかかってないか?」と自問することがある。

基本的にエンジニアには海外転職をおすすめしているがそれは「英語と技術がある方」に向けている。レベルは様々でいい。ただ最初はエントリーレベルで入社したとしても、最終的には「英語と技術力」が確立されなければ、海外では苦労する。

そして「海外は大変です!」「海外ではなかなか生き残れない!」「やたら海外移住をすすめる人には気をつけてネ!」みたいな人に言いたい。
それって本当にそんなに大変か?と。
もし求められるものが100も200もあったら「えー?そんなに?」となるが本当に必要となるのはたった2つ「英語と技術」だけ。すごい天才でなくても普通に勉強した人が普通に手に入れているモノだ。ギャーギャー騒いで危険だぁー!と警告するよりも、英語と技術があればOk、無ければ勉強して習得すべし、とした方がよほど人のためになると思うのだが、どうだろうか。

以上がソフトウェアエンジニアとして職を得るためのレベルに対する回答でした。読み物としてまったく面白くない回答だが、真面目に答えるとこうなる。

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【読者質問 09】海外移住と家の問題なんて気にせず、ただ楽しめばいいのでは

ご質問ありがとうございます。さっそく質問から。

ジャバ・ザ・ハットリさん、はじめまして。
若い時から海外で暮らしをしてみたいとは思っておりましたがその夢は実現しないまま30代になったウェブエンジニアです。ハットリさんのブログは海外に暮らしている気分?になるので毎回楽しみに読ませていただいております。
家族(妻と子供)は海外移住については欧米なら賛成の様子で自分としてもチャンスさえあれば行ってみたいとおもってます。でも20代後半で購入した自宅とそのローンがありもし海外移住が実現できたとしても家とどうすればいいのかと迷ってしまいます。
ハットリさんならどうされますか?もちろん英語とエンジニアとしての技術力強化は必須なのですが、家が気になったので質問させていただきました。

 
ご自宅は売ればいいのじゃないでしょうか?

私個人としては家は不動産投資としか捉えていなくて、住宅価格が十分安ければ買うのがいいし、逆に高い場合は賃貸で住む方がいい、というセオリーに従っている。つまり「マイホームが夢!」みたいな発想は持ち合わせていない。「持ち家 vs 賃貸」の議論はもう聞き飽きたし、ここで書くまでもない。

そういうのは別として、思っていることがある。

世界のいろんなところに住めば、それはそれは「家」って色々ありますよ、と。

人が「家を買う」とか「タワマンに住む」「うちの家は賃貸なんです」と様々なセリフを言う時に出てくる「家」という言葉のイメージって自分で気付かないぐらいに狭い範囲内から考えている。私にしても日本に居る時はそうだった。「家ってこんな感じじゃねーの」というのがあったが、それはかなり限定された範囲内のイメージだった。

住む国も仕事も家も飽きやすい私は転職回数と同じぐらい引っ越し回数も多い。もう「引っ越し貧乏」とでもなんとでも呼んでくれて結構なのだが、とにかく海外での不動産探しが意外にオモロいのだ。

日本で社畜サラリーマンをしていたころは「プール付きの家」なんてなにかで1発当てることでも無い限り絶対に自分と家族が住むことなんて想像すらできなかった。ところがシンガポールに移住して、家探しをすると豪華なプール付きの家というのがわりと普通だった。

普通のどこにでも居そうなITエンジニアがこんな家に住んでいるのだ。
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シンガポールのような常夏の国にとってプールは夏の間だけ遊ぶものではなく、あれば年がら年中ずっと使えるものだ。そうすると当然ながらコスパがいい。日本のように一部の金持ちだけが自宅にプールを持って楽しむものではなく、かなり普通にある。

日本の都心の豪華なタワマンに住んでる人のコメントで「うちにはプールはあるけどあまり使わない」みたいなコメントを読んだことがある。それは当然だ。日本の四季がある気候において自宅にプールがあってもあまり楽しめる気がしない。プールなんてものはシンガポール、カリフォルニア、南ヨーロッパとかその土地の気候に合わせないと意味がない。


ヨーロッパに住まいを移すと築100年以上の物件がざらにある。日本人目線から見るとそういう物件がやたら魅力的に映る。今の住まいも建てられたのが1870年でラッキーに第二次世界大戦であまり爆撃を受けることなく残った建物。天井が高いのでシャンデリアがやけに似合う。どう考えても以前の私だったら「は?天井からキラキラなシャンデリア?無駄。邪魔。要らんわ、ボケ」と考えたはずだ。しかしヨーロッパ風の家にしかるべきシャンデリアがぶら下がってるのを見ると「あーこういうことね」と納得してしまった。

引っ越しを繰り返すのもそういう色んな家に移り住むのが楽しいからだ。

東京都心の素晴らしいタワマンにお住まいの方が居たとしたら、素直に羨ましなーとなるし、田舎暮らしでのどかな風景の中に素敵な家を持っている人にもいいなーと思う。ただ私は「そこに何年も住むんです」となるのがイヤなだけだ。ヨーロッパの素敵な石畳の風景も東南アジアの温暖な気候もいつかは飽きる。

暑い夏の日のビールのひと口目は「ぷはー!」とすごく美味しくても、その感動はだんだん薄れていって、やがて惰性で飲んでるだけになるのと同じ。経済学の「限界効用の逓減」で、人の感情は全てのことに慣れるようになっている。

したがって人生をとことん楽しむためには常に「暑い夏の日のビールのひと口目」を狙い続けることになる。つまりは移動して新しいモノに出会い続けることだ。海外移住して引っ越しを繰り返して「家」というものが色々あることが分かった今はどんなに素敵な家であっても、そこに定住してしまうとケチ根性を発揮してしまって「もったいない!このままでは人生を損する」と思ってしまう。

そしてこの発想のすごいところはどんなに色んな国々に移り住んだとしても追加の旅行費用がかからないことだ。その場所で働いて得たカネの一部を家賃にまわして住む、となったらそれを東京でやっても、ロンドンでもパリでもヨハネスブルグでもリオ・デ・ジャネイロでも一緒で、旅行費用として計上することは無いし、もちろん大金持ちである必要なんかない。ちょっとしたITスキルと英語さえあればどこでも可能だ。

ということで今回はかなり無責任な回答にはなるが、ご自宅は売ればいいのじゃないでしょうか?、でした。

高城剛やホリエモンには到底かなわないがこうしていろいろ動くことを最近では「多動」と言うらしい。

多動力 (NewsPicks Book)

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質問箱はいったん閉じました。また気が向いたら設置して質問受け付けます。しばらくはこれまでいただいた質問への回答をがんばります。

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