ベルリンのITスタートアップで働くジャバ・ザ・ハットリの日記

日本→シンガポール→ベルリンへと流れ着いたソフトウェアエンジニアのブログ

【読者質問 14】海外転職における年齢と実務年数

ご質問ありがとうございます。

海外転職する際の年齢と実務年数に関する質問をさせていただきます。

情報系学部出身の4大卒プログラマで海外転職を目指しています。
私は長らくSEをしていましたが自分で手を動かしコードを書きたいという気持ちが強く、2年ほど前にプログラマに復帰したため年齢の割にプログラマとしての実務年数が短い点が不安です。
コードさえしっかりと書ければ履歴書上の実務年数の短さが不利に働くことはないのでしょうか。
また、30代の中盤を越えているので海外転職するにあたって年齢がどうしても懸念材料になってしまうのですが、やはりこの年齢で初めて海外転職を目指し職を得るのは難しいのでしょうか。
よろしくお願いします。

ご質問のポイントを2点に絞って、実務年数の短さと年齢に分けて回答する。
結論から書くとどちらもそこまで気にする必要は無い。本当に気にするべきは「技術と英語」ただこれだけであって、年齢や実務年数では決してない。

まず実務年数から。
応募者選考の際に最も注視されるのは「技術レベル」。確かに参考程度には職歴を見るし、極端に短ければ「大丈夫かな?」と思われてしまうが、ご質問者さんは長いSE経験をお持ちなのでそこは問題にはならないだろう。

なぜなら海外にはSEにあたる職が無いので、そこはうまく英語履歴書を作ればいかにも長年コードを書いてた風に見える。言っておくが私は決して履歴書にウソを書くことをおすすめしているのではない。ウソは絶対に書いてはいけない。後でバレたりしたら訴訟もありえる。ただモノは言いようで、SEとしての職歴を英語でどう表現しアピールするかはその人次第なのだ。SEの職歴を「仕様書書いて、後はコードが書けるエンジニアに丸投げしてました」と書くか、「システム構築に従事しておりました」と書くかの違いだけだ。

技術面談でちゃんと証明できるだけの技術力さえあれば、実務年数など気にすることではない。

次が年齢。
こちらも気にする必要は一切無い。もちろん英文履歴書に年齢なんて書かないし、転職の面談で「年齢は?」なんて聞かれることは絶対にない。

だがそうは言ってもご質問者さんのおっしゃる「やはりこの年齢で初めて海外転職を目指し職を得るのは難しいのでしょうか。」と不安になる気持ちは痛いほど分かる。私も同じような気持ちだったからだ。いくら人から「海外転職に年齢はカンケー無いです」なんて言われても気になるものは気になる。どうしても気になってしまう年齢を気にせずに突破する方法は単純で、海外に出てしまえばいい。海外に出てしまえば年齢を気にすることがどれほど的外れかはイヤでも実感する。そこでまずは今スグに英文履歴書を作ってどこかの会社に送り付けてスカイプ面談でもしてみてはいかがだろうか。

どれほど人が年齢を気にせずに過ごしているか、の事例はニュージーランドでご活躍のはっしーさんのブログをご参考に。
海外転職して「挑戦に年齢なんか関係ない」って気づいた話 - NZ MoyaSystem

私自身が日本から最初の海外転職を目指しつつも年齢を気にしていた時の心情を振り返るとそこには変なプライドがあったのが分かる。「30歳を超えたら少なくともこれぐらいのポジションには付いていないと世間体が悪い」とかそんな発想だ。そういう変なプライドは自分では気付かないぐらいに周りの人を寄せ付けない雰囲気を醸し出し、新しい世界へ飛び込みにくくする。
変なプライドを捨て去って「とっくに30過ぎたかもしれないけど実績はこの程度しかないよ。でも今オレがやりたいのはこんな仕事だー」と開き直って自分をさらけ出したら、意外に拍手してくれる人も居るのだ。

海外に出て移住を繰り返すとそういう変なプライドがどんどん削ぎ落とされていくのが分かる。だいたい右も左も分からない土地でいきなり暮らすことになると、エエかっこしているヒマなんて無い。食料の調達から役所の手続きまで、よく分かってなくてカッコ悪くてもなんでもいいから、対処しなければならないことが山のようにある。そんな中でプライドを捨てて行動していると自然と手を差し伸べてくれる人が多いことに気付かされる。誰でも「オレ様は偉いのだ」とカッコ付けてる奴なんかより、七転八倒しながらもナニかやりたそうな奴の方が応援したくなるものなのだ。

年齢が重要視される日本社会の習慣から年齢を気にしてしまうのは仕方がないことだが、それを一旦置いて自分を客観視して、変なプライドや無意味なこだわりを持ってないか、と自問自答してみてはいかがだろうか。

ご質問者さんは情報系学部出身の4大卒プログラマでかつ長年のSE経験とあり、ITエンジニアとしての海外転職条件は完璧。ぜひ成功させてください。以上が「海外転職における年齢と実務年数」の回答でした。

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エンジニア、デザイナー、プロジェクトマネージャー、それぞれの視点

視点というのはそれぞれ職種に応じてまったく異なる。
なんだかんだ言ってエンジニア、デザイナー、プロジェクトマネージャーは仲がいい。モノを作る仕事に携わる人同士で考え方なんかが重なる部分があり、気が合うのだろう。ただそれぞれの視点は大きく異り、それらを可視化するとこうなる。

エンジニア視点から見た場合

エンジニア(自分自身)
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デザイナー
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プロジェクトマネージャー
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デザイナー視点から見た場合

デザイナー(自分自身)
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エンジニア
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プロジェクトマネージャー
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プロジェクトマネージャー視点から見た場合

プロジェクトマネージャー(自分自身)
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エンジニア
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デザイナー
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 真面目くさって「人材マネージメントというものはダネー。。。」なんて言ってる人は上記の視点の違いが本当に分かっているのだろうか。

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【読者質問 13】リモートワークできる海外の転職先

ご質問ありがとうございます!!今回はRuby界でとても有名な伊藤さんからのご質問。あー素直に嬉しい。ご存知ない方のためにカンタンに伊藤さんを説明すると、QuiitaなんかのContributions数がスーパーサイヤ人の戦闘能力みたいになってるスゴい人。あー嬉しい。
ではご質問から。

海外に移住せずに、リモートワークできる海外の転職先を探す、というのはどう思われますか?
移住する場合よりも転職に苦労するよ、とか、転職した後が大変だと思うよ、とか、日本からリモートで働くとこういうメリットがあるだろうね、等々。
わかる範囲でいいので教えていただけると幸いです。

伊藤さんは「今のところ転職の意思はない」とのことだったが、読者の方でもし「移住せずにリモートで海外の会社で働いたらどうかな?」とお考えの方が居れば、そうした方達に向けて回答を書く。要点だけまとめると次の3点になる。

  1. 転職活動自体には特別の苦労は無い
  2. 転職した後の英語圏の労働環境を理解するのが難しいかもしれない
  3. 転職する会社の見極めはとても重要。なんちゃってリモートワークの会社は危険


1)転職活動自体には特別の苦労は無い

海外への転職活動に苦労するかどうかの違いはそれぞれの候補者のスキルと慣れによる。入社後はリモートワークを前提とするからと言って、特別に苦労が付加されることは無い。海外転職の場合は特に誰でもその選考は全てスカイプなんかを使ったリモートで行う。今の勤め先であるベルリンのITスタートアップへ転職する際の面談も全てスカイプだった。
この点に関して言えば普段からリモートで繋いだモニター越しにコードレビューや会議を行い慣れているリモートワーカーの方がむしろ有利かもしれない。
英語圏のエンジニア職は日本よりも数倍給料がいい傾向にあるので、リモートで海外のIT会社に参加するのはとてもいい選択肢だと思った。ブログにたくさん海外転職のことを書いておきながら、ご質問をいただくまでこんなアイデアは思いつかなかった。。。

2)転職した後に英語圏の労働環境を理解するのが難しいかもしれない

少なくとも私の場合は日本から海外の労働環境に変わった際にしばらくは慣れなかった。突然にシンガポールへ移住し、日本とはなんの関係も無い、社内にも日本人がまったく居ないアメリカ系のIT会社に転職した。そこには日本の労働習慣みたいなモノは一切無かった。何もかもが分からなくて、毎日ストレスを感じていた。「なにが分からなかったのか?」と聞かれても、本当に些細なことばかり。

初日にどうやって英語で自己紹介すればいいのか、どんな役職の人であっても全員をファーストネームで呼ぶってどういうことなのか、隣の席の同僚に呼びかける時の最初の一声はなんと言うべきか、休みってどんな風に取るのか、腹立つことがあった時にどれぐらいのテンションの英語で話すべきか、どうやって同僚と仲良くなればいいのか、そもそも仲良くなっといた方がいいのか、とかだ。こんなちょっとしたことでも分からないと、仕事においてもひとつひとつの行動がなんかぎこちなくなってしまう。
お恥ずかしい話だがそのアメリカ系の会社でノリの違いから私だけ妙に浮いていたことだけは分かっている。決していい意味ではない。単に「よー分からんおかしな日本の労働習慣をひきずった変な奴」だった。そういう変に浮いている状態は仕事にも影響して「果たしてこの変な日本人に任せてOkなのか?」の疑念はあの時、誰もが感じていたようだった。

勘がいい人なら、その辺りは要領良く理解して、スッと馴染めるのかもしれないが私には無理だった。なんとか克服したのは毎日オフィスに通って、周りの同僚達の様子をじっくり観察することができたからだ。もしあれが限られた画面の中からだけしか同僚の様子が伺えないリモートワークの状態だったら、英語圏の職場のノリがずっと分からないままだったかもしれない。


3)転職する会社の見極めはとても重要。なんちゃってリモートワークの会社は危険

ベルリンで他のスタートアップの人達と話した際にこの質問の回答の足しにしようとリモートワークの話題をふったことがある。するとだいたいが「おお。もちろんウチもやってるぜ!」と言って「リモートワークも取り入れてるイケてる会社アピール」を感じる発言が多かった。

そういうイケてるアピールをして「リモートワーク実施中」「リモートワーカー募集」とか言っててもなんちゃってリモートワーク実施中な会社に入ってしまうと、ちょっと苦労するかもしれない。というのも今の私の勤め先がまさにその「なんちゃって」だと思うからだ。
開発において外部に委託している箇所が3つほどあり、委託業者は全てリモートで参加している。開発委託会社は3社でそれぞれロシア、アイルランド、ポーランドにある。毎朝10分ぐらいのミーティングがあって、私を含む自社の開発メンバー5人とそれぞれ3社の委託会社のリーダーがモニター画面に並んで映って、みんなで話す。それぞれのメンバーが1分ぐらい進捗報告をするだけの軽いミーティングだ。テクノロジーの進化で遠隔地から会議に参加してもほぼ支障は無くなっているのを毎朝感じている。ただ問題となるのはそうしたコミュニケーションではなく、仕事内容の方だ。
大雑把に言えば今の開発体制は事業のコアになってリスクを背負った開発が必要な部分を自社の開発部隊に、その他の誰がやっても同じ結果が出そうな部分を外部の委託業者に発注している。そうするとどうしてもメンバーの意識として「リモートの場合は主要部分の開発をしない人」となってしまう。
職場の同僚とリモートワークについて話していて問題だな、と思ったのは各メンバーの意識にオフィス勤務者とリモートワーカーの間にそうした差を作っていることを感じたからだ。ただこれはまだまだ本格的なリモートワークに慣れていない会社だからだ。

世の中にはイケてるリモートワークを行う会社が増えてきているのは事実。Rails界隈では有名なBasecamp社(旧 37signals)もそのひとつ。超デキる人材だけの少人数チームがモットーの同社にしては珍しく、数ヶ月前に人材募集をしていた。で、入社が決まったことでDHHがブログで新メンバーの紹介をしていたのだが「ブラジルのリオ・デ・ジャネイロからリモートで参加ぁー」「スペインのマドリードからリモートで参加ぁー」とかが続いて、カッコいいなーと思ってしまった。
どう見てもBasecamp社のようなところで「アイツはリモートだからコアの開発じゃなくて、この辺を任せとけばいいだろ」なんてなる訳がない。

Five fresh faces at Basecamp for 2017 – Signal v. Noise

リモートワーカーが多いのはアメリカだとコロラド、イギリスだとエジンバラ辺りにたくさん居る。どちらもそこまでの大都市でなく、美しくゆったりした街なんかで仕事に集中できるのが理由だろう。

このサイトにはそんなリモートワークを実施している名だたる100社が掲載されている。
100 Remote Companies Hiring Right Now - Outsite

先日ベルリンのマイクロソフトでMicrosoft HoloLensを試してきた。HoloLensの体験は衝撃的でしばらくはHoloLensのことが頭から離れなかった。HoloLensが進化すれば人に直接会うこととヴァーチャルで会うことの差をほぼ無しにしてしまえる。そうなったら未来ではリモートワーカーが普通の働き方で「え?あなたってオフィスに集まった人達と仕事してるの?珍しい人ねー」となるだろう。

www.youtube.com

以上がリモートワークができる海外の転職先に関しての回答でした。


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