ベルリンのITスタートアップで働くジャバ・ザ・ハットリの日記

日本→シンガポール→ベルリンへと流れ着いたソフトウェアエンジニアのブログ

「海外移住でもしてみようかなー?」と思ったら参考にすべきサイトは日本語ブログではなく、統計サイト

こんなこと書くとブログ書いてる本人の自己否定にも繋がるのだが、もし「海外移住でもしてみようかなー?」なんて考えていたら、本当に実用的な参考サイトは統計サイトですよ、という話。

エンジニア気質もあって、数字が入っていない話はあまり気に留めていない。
「ウェブサイトのレスポンスが遅いような気がします」なんて言うヤツの相手はしないが、「変更前のサイトレスポンスは200msだったのが、変更後は3000msになってます」はしっかり対応しなければならない。

人生にまーまー影響する海外移住となるとなおのこと。**という都市は住みにくい、もしくは住みやすいってブログに書いてあっても「それ単なるおめーの意見だから」となってしまう。その人のスキルやら家族構成、状況は千差万別で、海外都市の中で万人にピッタリの都市なんてある訳がない。あるのは「あなたにとっていい都市」だけだ。そこで横断的に調査された統計資料の数字を元に考えてみることをおすすめしたい。

実際に私が海外移住にあたって検討するのはどこかに書き散らした日本語ブログなんかではなく、こうした統計資料のみと言ってもいい。
統計サイトの中でお気に入りのひとつはこちらのTeleport。

https://teleport.org/

f:id:tango_ruby:20171128005922p:plain

ウェブサイトのキャッチコピーが「Move to your best place to live and work(あなたにとって住むにも働くにも一番の都市に行こう)」と。

サイトがやってることは単純でそれぞれの都市間の職業別の給料やら住宅費、生活費を数字で割り出してそれを統合してまとめたサイト。言うのはカンタンだが、各国政府の発行する資料をいくら眺めてもなかなか都市間比較は難しかったりする。そこで頼りになるのがこのTeleportのようなサイトになる。

たとえばニューヨーク。

f:id:tango_ruby:20171128010039p:plain:w400

私のような田舎モンには特に憧れの強いニューヨーク!

このようにスタートアップ界隈やベンチャーキャピタル界隈は全200都市以上の中で1位。カルチャーもダントツの1位。さすがビッグアップル。この点にはまったく異論はない。これだけ見ると「ここに住んだらおもしろそー!」となる。
f:id:tango_ruby:20171128010340p:plain
f:id:tango_ruby:20171128010433p:plain
しかし住宅と生活に関してはこの有様。200都市の中でほぼ最低ライン。
f:id:tango_ruby:20171128010528p:plain

Costs of living in New York City are in the most expensive 10 percent of all 248 Teleport cities and the 5th most expensive in the United States. Average living expenses are significantly higher compared to other cities, especially in the housing market.

高い。高すぎる。ちょっといい給料もらったぐらいではまともに暮らせない。特に家族連れの場合は夫婦揃ってスゲーいい給料もらって、普通の暮らしができるレベル。

ちなみにソフトウェアエンジニアの給料。普通に東京の倍以上だが、そんなんじゃ足りない足りない。
f:id:tango_ruby:20171128010857p:plain:w500

ビザ取得の厳しい関門を乗り越えてニューヨークに行ったところで現地での生活はこんなに厳しいんだったらやってられねーな、となる。

しかし心配することなかれ、世界にはニューヨーク以外にもたくさんの都市があって、Teleportが情報提供してくれる。
f:id:tango_ruby:20171128011115p:plain:w300

じっくり見ていくと、ベルリンなんかのヨーロッパの都市ではソフトウェアエンジニアの給料がプロジェクトマネージャーの給料よりも高額だな、とかQAエンジニアというのは都市間の給料差がまーまー激しいなとかも分かってくる。

他にも治安、ビザ、教育、言語などもし海外移住するなら気にすることになる要素に関して、様々な切り口で統計が取られている。統計好きでかつ海外移住に興味のある人ならサイト内をいくら巡回しても興味が尽きないだろう。

海外なんてまったく行く気の無い方でもこのサイト見てたら「ちょっと引っ越ししてみようかな?」なんて思うのでないだろうか。数字を眺めているだけで、気分だけでも世界中が旅できる。

それと「東京が一番」とか「ニューヨークが一番」なんていうのがいかに浅い考えかも気付かされる。都市というのはひとつの指標だけで捉えられるモンなんかじゃない。多くの人が異なる目的を持って生活し、常に動き続けている凄まじい複雑系の塊だ。私はこうしたサイトを通じて、まだまだ自分がいかに世界を知らないか、を知ることになる。

Teleport、とにかくおすすめです。

https://teleport.org/

この記事を機に海外移住をお考えの方の本ブログへのアクセスが減って、みんな統計サイトの方に流れてしまったら切ない話だが、みんなが本当に有用な情報にアクセスされるなら、まーいいかな。

tango-ruby.hatenablog.com
tango-ruby.hatenablog.com
tango-ruby.hatenablog.com
tango-ruby.hatenablog.com
tango-ruby.hatenablog.com
tango-ruby.hatenablog.com

Amazon Echoを買って「アレクサ!」と言ってから世界の見え方が変わった

Amazon Echoに的外れなコメントするヒマがあったら、今すぐ買って「アレクサ!」と言ってみるべし。私にとってAmazon Echoは単なる便利な商品という枠に留まることは無かった。大袈裟ではなく、世界の見え方を変えた製品だった。

我が家に英語版のAmazon Echoを置いて半年ほどになる。英語版が先行発売されていることから「ものは試し」という感じでなにげに買った。ミニマリストの私の家にはテレビや家具がほとんど無く、Amazon Echoだけが青い光のリングを照らしてぽつんと置いてある。

f:id:tango_ruby:20171109011935j:plain

最初にAmazon Echoを置いた日に私が子供たちに言ったのは、アレクサ(Amazon Echoのこと)は英語が分かるので、とにかくなんでもアレクサに向かってしゃべれ、と。子供は英語ネイティブなので話すことには問題無いはず。それでも最初は「一体この機械に向かって何を言えばいいの?」という感じだった。で、私が明日の天気は?とか、音楽かけろ、とか言って手本を示した。

ところがその後の数時間で子供達が「アレクサ!」「アレクサ!」と言ってガンガン使い出して、私は子供がアレクサを使う様子から逆に学ぶ立場となってしまった。

これは私の家に招いた友人のドイツ人家族にも同じ現象が起こった。その友人家族の両親は「おーこれが噂に聞いていたAmazon Echoか」という感じで眺めている。やはり大人は人が見ている前で機械に話かけるのにまだちょっとした抵抗があるようだった。しかしそこの子供が「アレクサ!」「アレクサ!」と言ってガンガン話し出す。そんな様子を見てようやく大人も面白くなってくる、という感じだ。

ある時、子供が唐突に英語で「アレクサ、なんか面白い話し聞かせて」と言い出した。私は「なんてことをAmazon Echoに要求するんだ」と思っていたが、Amazon Echoは普通に子供用の話をはじめたのだ。

一事が万事こんな風に子供からAmazon Echoの使い方を学んだ。

日本でも日本語版Amazon Echoの発売が発表された。そのニュースに対するユーザーのコメントをざっと読んだ。まだ発売前だからだろうがちょっと的外れなコメントが多いという印象を持った。

その中のひとつとしてこんなのがあった。

iPhoneのSiriもあんまり使わないし、必要性って無いだろう

実際に家にAmazon Echoを置いて生活すればSiriとAmazon Echoがどれほど異なるかが分かる。まずSiriを使うには手でiPhoneを取り出して、ボタンを押して、マイクに向かってしゃべる、という一連の動作が必要になる。
それに対してAmazon Echoは7つの指向性マイク内蔵で、どこからしゃべってもいい。いつどんな時でもあなたの命令を待っている状態なのだ。ボタンを押す必要は無い。思いついたその時に「アレクサ、音楽かけて」と言えば、音楽がかかるのだ。

この「いつでも聞いてくれる状態」がやたら気持ちいい。

近未来を描いた映画「ブレードランナー 2049」でも登場人物がメカ類を使う際に一切キーボードなんかは使わず、ほぼ全て音声で操作していた。これはAmazon Echoと暮らしている私の実感と一致する。細かい作業を要しない機器のインタフェースとして音声認識は最強に近い。「テレビを消して欲しい」と思って、リモコンに手を伸ばしてボタンを押すのは遅い。「テレビを消して欲しい」と思ったら、そのまま「テレビ消して」と言うと実行されるのだ。これそこが「思ってから実行」までの最短コース。

Amazon Echoと暮らして、普段の生活においても切符の販売機や自動車、家電製品のインタフェースを見るたびにその未来像が重なって見えて来た。音声認識の技術は今後、全ての製品に応用されるはず。

こんなブログ記事で「なんでも言ったら聞いてくれる機械です」と書いても、あの使用感は伝わりにくい。新しいテクノロジーを追いかける必要があるエンジニアならばAmazon Echoもしくはスマートスピーカーと呼ばれる他社製品は必ず「買い」だと断言できる。この未来感を実感できているのと、できてないのとでは大きく変わってくるからだ。

スティーブ・ジョブズが初めてiPhoneを発表した際に「あんな高価な電話は誰も必要としていない」とか「クソ商品を大袈裟に発表しているだけ」なんてコメントしてた人達が居た。ところがその後、iPhoneとスマートフォンが人の生活を劇的に変えてしまった。

今、Amazon Echoに対して的外れなコメントをしている人は、あの時iPhoneに冷ややかなコメントをしつつ、その後のスマートフォン革命がまったく理解できなかった人達と同じに思える。

もうひとつAmazon Echoに対する的外れコメントがこれ。

人が機械にしか話さなくなって悪影響ありそう

はっきり言う。そういう変な理由をこねくり回して新しいモノを寄せ付けない発想の方がよほど悪影響だ。
年食って感覚が劣化してしまった大人だったら、あきらめていただいても仕方ない。ただ子供は違う。もし未成年の子供が近くにいたらぜひAmazon Echoをそばに置いてあげて欲しい。間違いなく次の世代はこうしたAI技術と共に生活するはずで「機械に話すなんて照れくさい」なんて言ってるヤツはAI時代に取り残される。
「Amazon Echoに話しかけて命令するなんて誰でもできるだろ」などと思うことなかれ。すごい技術だと思うが完璧ではないし、Amazon Echoを使い込むにはちょっとしたコツが要る。コツとは英語の話し方や話す内容のことだ。スマートフォンが普及して10年以上になるがタッチスクリーンを指で操作することに関して、ひとそれぞれに違いがあるのと同じこと。フリック入力でちゃっちゃと文字入力ができる人がいる一方で、アプリの起動すらもたもたしている年配の人も居る。

Amazon Echoに代表される音声入力とAIを本当の意味で使いこなせる人と使いこなせない人の差は今後、劇的に拡がってしまうだろう。だからもしこれをお読みの方がいまいちピンと来なくても、子供にはあげて欲しい。今年の子供へのクリスマスプレゼントは一押しでAmazon Echoだ。子供が欲しがっているのはニンテンドーって?。子供はそんなとぼけたこと言ってないで「アレクサ!」って言ってAIと暮らせ、と。

Amazon Echoと暮らしていると、近い未来に音声認識の技術が現行の使われ方を超えたところに到達していることを毎日想像させてくれる。そこがまさに私にとって世界の見え方を変えてくれる製品だった。

Amazon Echo (Newモデル)、チャコール (ファブリック)

Amazon Echo (Newモデル)、チャコール (ファブリック)

Amazon Echo Dot (Newモデル)、ブラック

Amazon Echo Dot (Newモデル)、ブラック


tango-ruby.hatenablog.com
tango-ruby.hatenablog.com
tango-ruby.hatenablog.com
tango-ruby.hatenablog.com

【読者質問 12】ランチ中の英語の会話

ご質問ありがとうございます。

社員とのランチなどで交わされる英語の会話についていけてますか?

ランチ中の会話が英語になってから6年ほどになるのでさすがに慣れた。英語での会話は仕事中よりもランチ中の方が話題が多岐に渡るので難しい。ただそうした場での会話が楽しめないと海外移住の本当の楽しさは半減する。

まだ英語の会話に慣れない時期の対策としては「自分から話題を提供すること」。これに尽きる。

ランチ中の会話でなにが難しいのかというと、いきなり自分の知らない、もしくはまったく準備していない話題を振られて、それに対応すること。だったら予めこちらで用意しておいた話題を振ればいい。話題の主導権を握ることは想像以上に英会話をスムーズにする。

英会話が苦手だからと言って黙っていると、不意に話題を振られて即興でその話題に対する回答をしなければならなくなる。しどろもどろになってちゃんと返答できなければ「アイツってしゃべれないのか?」などと思われてどんどん社内の立場が危うくなっていくので、そこは無理をしてでも自分から話題を提供した方がいい。

ある程度、話題を提供していると慣れてくる。言い出し方はこんな感じ

「おい、住む場所によって年収が決まるって話があるの、知ってるか?」
「おい、オレはもうこれからのAI時代に備えて今日からコーティングをやめようかと思うんだ」
「おい、鏡を使って自分の肛門をじっくり観察したことがあるか?」

もしブログを書いていたらそれをそのまま英語に訳して言うだけ。ブログとか書いた時点である程度の考察が自分の中にあるので言いやすい。

ポイントは英語でどう言うか前もって準備しておくこと。これは日本語でも同じ。意識してても無意識でも人が話すことのほとんどは予め自分の脳内で用意していたセンテンスをつなぎ合わせているだけ。母国語であってもその場の即興で話題をゼロから生成することはほぼ無い。以前から考えていたこととか、以前に他の誰かに話した内容を編集して話している。そうでもなければ誰も即興でそんなにたくさんは話せない。

母国語でも難しい即興の会話を第二言語を使ってできる訳がない。

したがって私は今でも時々「明日の話題」を独り言のようにブツブツ言って予行練習をしている。

tango-ruby.hatenablog.com
tango-ruby.hatenablog.com
tango-ruby.hatenablog.com
tango-ruby.hatenablog.com